大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和43年(ワ)10132号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕原告は、本件没取決定は被告人大内正守を名あて人としたもので原告を名あて人としたものではなく、本件徴収命令書は虚偽事実を記載した公文書であるから無効であり、かつ、本件没取決定も本件徴収命令書も原告に送達されていないのに、本件差押および換価命令がなされたのは違法である旨主張する。

しかしながら、保釈に際し、被告人以外の第三者が保証書を差し出すのは、直接国に対し保証書に記載された保証金額を納付するという義務を負担するに至るものであつて、被告人の国に対する保証金納付義務を右第三者において民法四四六条以下の規定に従い保証するといつた性質のものではないのである。そして、保証金を没取する決定中、保証書に記載された保証金額を没取する部分は、右第三者に対し右保証金額を国庫に納付することを命ずることを内容とする裁判である。してみれば、没取決定中保証書に記載された保証金額を没取する部分は、その性質上、右保証書を差し出した第三者を実質的な名あて人としてなされているものと解するのが相当である。これを本件についてみるに、本件没取決定中保証書分の保証金を没取するその部分および本件東京高裁決定中保証書分の保証金のうち五万円を没取するとの部分は、原告を実質的な名あて人としているものと解すべきである。のみならず、成立に争いがない甲第六号証によれば、本件東京高裁決定の決定書においては、抗告人大内正守と表示したあとに続いて「右弁護人岡部勇二」と表示し、主文において「本件保証金中二〇万円(現金納付の金一五万円及び弁護人の差し出した保証書中金五万円の分)を没取する。」と記載されていることが認められ、この認定に反する証拠はない。右認定の事実によれば、本件東京高裁決定は大内正守の弁護人であつた原告の差し出した保証書中五万円の保釈保証金をも没取するものであることが、その決定書の文面上、弁護人である原告にあつてはもとより、一般の第三者にとつても一義的に明確に理解できる程度に記載されているのであつて、本件東京高裁決定は、その形式上、原告をも名あて人としているものと解することもできないわけではないのである。なお、本件没取決定が本件東京高裁決定により取り消されていることは前記認定のとおりであるから、本件没取決定がその決定書の文面上原告をも名あて人としているかどうかの判断は必要がないので省略する。してみれば、本件東京高裁決定は原告を名てあ人としてなされたものでない旨の原告の主張は理由がない。

(高津環 牧山市治 上田豊三)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!